目 の 病 気
乳幼児から、高齢者までさまざまな目の病気をご紹介します。
※それぞれの症状、個人の感じ方が異なりますので、必ずしも以下の症状・病気に当てはまるとは限りません。
少しでも気になる症状がございましたら、お早めに検査、診察にてご相談ください。
病 名 か ら 知 る
病 名 一 覧
ものもらい
- 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
- 霰粒腫(さんりゅうしゅ)
結膜の病気
- アレルギー性結膜疾患
- ウイルス性結膜炎
- 翼状片
⾓膜の病気
- 角膜感染症
- 角膜内皮障害
⽔晶体の病気
- 白内障
- 後発白内障
ぶどう膜の病気
- ぶどう膜炎
- サルコイドーシス
- 感染性眼内炎
- フォークト・小柳・原田病
緑内障
- 緑内障
視神経の病気
- 視神経炎
乳幼児の⽬の病気
- 新生児涙囊炎
- 乳幼児の鼻涙管閉塞症
- 小児斜視
- 幼児の色覚異常
- 弱視
- 乳幼児の近視
網膜・硝⼦体の病気
- 糖尿病網膜症
- 網膜剥離
- 網膜静脈閉塞症
- 中心性漿液性脈絡網膜症
- 黄斑変性症
- 網膜色素変性
- 黄斑浮腫
その他の病気
- 近視・遠視・乱視
- 老視
- ドライアイ症候群
- 鼻涙管閉塞症
- コンタクトレンズ障害
- 大人の斜視
- 眼精疲労
- 飛蚊症
- 眼瞼けいれん
- 眼瞼下垂
- 複視
ものもらい
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
麦粒腫とは
俗にいう「ものもらい」。まぶたにある皮脂腺や汗腺、まつげの毛根に細菌が感染して炎症を起こした状態。
症状について
まぶたが赤くなり、かゆみや痛みがあります。
化膿が進むと、腫れたところが自然に破れて膿が出ることがありますが、膿が出てしまえば症状は回復に向かいます。
治療について
抗生物質の点眼や内服を行います。
化膿が進んだ場合は、切開して膿を出すこともあります。
汚れの付いた手で目を触らないようにしてください。
初期に治療を始めた方が、治りが早く痛みも少ないです。
少しの症状でも治療にお越しください。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
霰粒腫とは
まぶたにある皮脂腺がつまって慢性的な炎症が起き、
肉芽腫という塊ができる病気。麦粒腫とは違い、細菌感染はありません。
症状について
痛みはなく、まぶたの腫れや異物感があります。
まぶたを指でなでると塊を触ることができます。
炎症を伴った場合は、麦粒腫と似たような症状が出ることがあり、急性霰粒腫とよびます。
治療について
初期で霰粒腫が小さければ、治りも早く痛みも少ないです。
大きい場合は、副腎皮質ステロイド薬を注射したり、摘出手術などを行います。
急性霰粒腫の治療は、抗生物質などで消炎をはかります。
また、高齢の患者様では、霰粒腫と悪性腫瘍との見分けが必要な場合があります。
少しの症状でも当院にご相談ください。
結膜の病気
アレルギー性結膜疾患
アレルギー性結膜疾患とは
目に起きるさまざまなアレルギー疾患の総称。
目はアレルギーが起こりやすい臓器です。
一番の理由は、結膜が直接外界に接していて、抗原が入りやすいこと。
また、結膜には実際のアレルギーの反応を引き起こす免疫細胞、血管もたくさんあるため、次から次へと炎症を起こす細胞が入り込みやすいことも理由です。
主な症状は、目のかゆみ、異物感、涙、目やになどですが、症状が強い場合、日常生活にも支障を来すことがあります。近年増えているアトピー性皮膚炎に合併する目のアレルギー性炎症は、視力を侵す場合もありますので注意が必要です。早めに当院までご相談ください。
症状について
最も多い症状は、目のかゆみです。
特にまぶた、まぶたのふちなど部分的にかゆみが現れやすく、
かいてしまうと、角膜や粘膜を傷つけてしまい、
角膜びらんなど更なる合併症を引き起こす原因になります。
また、ゴロゴロしたり、小さなゴミが入ったような異物感、
涙が出ることも主な症状です。一般的に、ある季節に毎年起きること、
程度の差はあっても両方の目に生じることも
アレルギー性結膜疾患の特徴です。
治療について
当院では、外来にて15分程度の簡単なアレルギーチェックを行っています。
気になる方は、お気軽におたずねください。
通常の治療には、抗アレルギー薬を目薬として使用します。
症状が強い場合は、ステロイド薬を用いる場合があります。
強いかゆみなど、日常生活や仕事に支障がある場合は、抗アレルギー薬を飲み薬として服用することもあります。
治療について不安なことは、院長までお伝えください。
ウイルス性結膜炎
結膜について
ウイルスの感染によって引き起こされる結膜炎のこと。
下記のような種類があります。
【流行性角結膜炎】
別名「はやり目」と呼ばれる感染力が非常に強い病気です。
【咽頭結膜熱】
プールを介して子どもたちの間で流行することがあるため「プール熱」とも呼ばれています。
【急性出血結膜炎】
別名「アポロ病」と呼ばれる感染力が強い病気です。
【ヘルペス性結膜炎】
お子さんが初めてヘルペスウイルスに感染したときに発症することが多い病気です。
症状について
結膜が充血し、目やにや涙が自然に出て、ゴロゴロしたり、目が痛くなります。
原因のウイルスには、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。
人からウイルスが体に入って発症するものであり、人に感染させる力も強く、家族内や学校内の集団感染などの原因になります。
治療について
炎症を抑え、細菌による二次感染を防止するための目薬を使用します。
ヘルペスウイルスの場合は抗ヘルペスウイルス作用を持つ薬を、まぶたに発疹がある場合に抗ウイルス薬の眼軟膏を用います。
また症状によっては抗ウイルス薬の内服や点滴治療を併用することもあります。
診療にて、どの感染症なのか判断いたします。
その際に、二次感染予防の為の指導などもしっかり行いますのでご不明なことがあれば、お気軽にご相談ください。
翼状片
翼状片とは
翼状片とは、白目の表面を覆っている結膜が、目頭の方から黒目の方に三角形状に伸びてくる病気。両目に起こることもあります。
高齢者に多く、はっきりとした原因は分かっていませんが、紫外線などが関係しているといわれています。
症状について
症状は、充血したり、ゴロゴロしたり
ゴミが入ったような異物感などです。
白目の一部が黒目に伸びたような
状態になった際は、受診してください。
治療について
翼状片自体は悪性の組織ではないので、軽い症状の場合は問題ありません。
充血や異物感が強くなってきた場合、点眼などの治療を行います。
当院では、進行した翼状片の手術も行っています。
翼が瞳の近くまで伸びすぎている場合、視力低下や乱視により見えにくくなります。お早めにご相談ください。
⾓膜の病気
角膜感染症
角膜感染症について
角膜は、厚さ約0.5mmの透明な組織のことで、「黒目」と呼ばれています。
この部分に、病原性を持った微生物が感染し、炎症を起こした状態を角膜感染症といいます。
重症例では角膜穿孔を起こすなど、失明する可能性のあるものです。
目の病気の中でも比較的緊急性の高い病気です。
角膜感染症には、以下のような種類があります。
【細菌性角膜炎】
細菌が原因で起こる角膜感染症。
最近では、コンタクトレンズを装用する人の間で増えています。
【真菌性角膜炎】
病原性カビの一種、真菌による角膜感染症。まれな病気ですが、目に持病があり抵抗力が落ちている場合に発症しやすくなっています。
【アカントアメーバ角膜炎】
池や川、公園の砂などに存在するアカントアメーバと呼ばれる微生物が原因で起こる角膜感染症。洗面所などの水廻りにも存在し、特にソフトコンタクトレンズ装用者に多い病気です。
【ヘルペス性角膜炎】
ヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスが原因で起こる角膜感染症。
完治しても、体調不良になると再発する場合があります。
治療について
当院では、顕微鏡で細菌を識別し、迅速な診断ができます。
治療は、細菌の種類や状況に応じて、抗菌点眼薬や抗菌内服薬などが使用されます。
強い充血、目の痛み、大量の目やになどの症状が出現し、角膜感染症が疑わしい場合には早めに受診してください。
また、コンタクトレンズ使用による角膜感染症を予防するために、当院では正しいコンタクトレンズの使用方法や取り扱い方法の指導に力を入れております。
コンタクトレンズについてご不明なことがありましたらお気軽にご相談ください。
角膜内皮障害
角膜内皮障害とは
「黒目」と呼ばれる部分、角膜の内側を構成する細胞を角膜内皮細胞といいます。この部分が細胞分裂を行わなくなり、内皮細胞の数が減少すると起こる病気です。
黒目の部分が白く濁り、角膜全体がむくみ、目がかすんだり強い痛みを感じます。
原因は
主に以下のような原因が考えられています。
●内眼手術
●レーザー治療
●緑内障発作など急激な眼圧の上昇
●眼の外傷
●ぶどう膜炎など眼内の炎症
●先天性のもの
●コンタクトレンズによる酸素不足
治療について
角膜のむくみが軽い場合は、点眼薬でむくみを緩和していきます。
さらに病状が進行して眼の痛みがあると、全層角膜の移植手術が必要な場合があります。
当院の提携病院にて治療が可能です。
⽔晶体の病気
白内障
白内障とは
水晶体(レンズ)が濁る病気。まぶしさ、かすみ、二重三重にぼやけて見えるなどの症状が現れます。
視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。
原因は加齢によるものが多く、一般的に老人性白内障と呼ばれています。
瞳孔を開く散瞳検査で水晶体を観察すると、早い人では40代から、80代では大部分の人に白内障が発見されます。
目のかすみや視力が落ちたと感じる方は、当院までご相談ください。
治療について
ごく初期の白内障は点眼薬で進行を遅らせることも可能ですが、濁った水晶体を透明に戻すことはできません。
進行した場合の治療は、一般的に濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法で行われます。
後発白内障
ぶどう膜の病気
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎について
ぶどう膜に起こる炎症の総称。
ぶどう膜とは、目の中の虹彩、毛様体、脈絡膜の3つを合わせた組織です。
色素細胞が多く含まれ、ブドウの果皮のような見た目をしていることから、そう呼ばれています。
症状について
目がかすんだり、まぶしく感じたり、飛蚊症、視力低下、眼痛、充血などです。
ぶどう膜炎には、いろいろな疾患があります。
「虹彩毛様体炎」は、機能が低下して明るさを調節することができなくなり、まぶしく感じたり、白目が充血するなどの症状を引き起こします。
「サルコイドーシス」、「フォークト・小柳・原田病」、「感染症眼内炎」については、その項目をご覧ください。
原因は
原因はさまざまです。
●サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病のように全身の免疫異常によるもの。
●細菌性眼内炎やヘルペス性虹彩毛様体炎のように細菌、ウイルスの感染、真菌(カビ)、寄生虫などによるもの。
●強膜炎のように全身の免疫異常と感染によるもの。
外傷や悪性腫瘍によるもの。
●原因不明のもの。
治療について
原因により治療法はさまざまです。
ステロイド薬や免疫抑制薬の全身投与、ステロイド薬の点眼などの治療を行います。
ぶどう膜炎は失明に至ることもある目の病気です。眼科を受診し、早期治療が大切です。当院までご相談ください。
サルコイドーシス
サルコイドーシスとは
肺や目、リンパ節、皮膚、心臓など、さまざまな臓器に小さな腫れ物(肉芽腫)が形成される疾患。
目に現れる炎症「ぶどう膜炎」のなかでは、頻度の多い病気です。
原因は
不明ですが、何らかの病原体の感染がきっかけとなり、体の免疫反応が過剰に反応することによると考えられています。
サルコイドーシスは、20~30代と60代の方に発症が多く、特に、50代以降は女性に多くみられます。
症状について
目には、ぶどう膜炎・網膜の血管の炎症(網膜静脈炎)が起こります。目がかすむ、まぶしい、充血、飛蚊症といった症状があり、慢性の経過をたどることが多いです。目の中で炎症が強く起こったり、全身の症状では、咳や息切れなどの肺の症状、皮膚に腫瘍のようなかたまりができるなどの症状がみられます。
治療について
ステロイド薬の点眼、注射、内服などを行います。
ぶどう膜炎や網膜の血管の炎症が軽い場合は、炎症を抑えるためのステロイド薬の点眼、虹彩の癒着を防ぐための散瞳薬(さんどうやく)の点眼を行います。
全身症状については、内科医の診察と治療が必要です。
感染性眼内炎
感染性眼内炎とは
目の中に炎症が起きるぶどう膜炎の中でも、病原体による感染が原因となって起こる疾患。
細菌や真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫などが直接目に感染することもありますが、ぶどう膜は血管が多く血流に富んでいるため、目以外の臓器に発症した感染症が目に及ぶ場合もあります。
感染性眼内炎はできるだけ早期に診断し、原因となっている病原体に応じた治療を行うことが大切です。
当院にご相談ください。
検査について
感染した病原体を明らかにするため、採血や胸部レントゲン検査などの全身検査などを行うこともあります。
代表的な疾患について
【細菌性眼内炎、真菌性眼内炎】
細菌や真菌による感染。時には、失明することもあります。抗菌薬、抗真菌薬の内服や点滴による治療を行いますが、手術が必要となる場合もあります。
【結核性ぶどう膜炎】
結核菌に対するアレルギー反応でも起きます。抗結核薬の内服による治療のほか、網膜光凝固や手術が必要となることもあります。
【ウイルス性ぶどう膜炎】
ヘルペスウイルスが原因となって起こるぶどう膜炎。
多くの場合に網膜剥離を合併するため、手術が必要となります。
【トキソプラズマ症、トキソカラ症】
寄生虫や原虫による感染。網膜や脈絡膜に炎症を起こします。
ウシやブタなどの生肉(特に肝臓)を食べることや、犬や猫などの糞便から感染することが知られています。
寄生虫や原虫に対するお薬や副腎皮質ステロイドなどで治療します。
フォークト・小柳・原田病
フォークト・小柳・原田病(原田病)とは
急に両眼に網膜剥離が生じて見えにくくなる疾患。
目の病気と思われがちですが、同時に髄膜炎、難聴が生じ、しばらく経ってから皮膚の白斑、白髪、脱毛などが生じる全身の病気です。
原因は
ぶどう膜組織の炎症で、メラニン色素細胞に対する自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、自分のからだの中にある正常な物質を間違って悪い物質だと認識して免疫反応を起こし、その場所で過剰な炎症が生じる病気をいいます。
原田病では、メラニン色素の多い目、耳、髄膜、皮膚、毛髪などで炎症が生じます。
症状について
両目の充血、かすみ、視力低下、ものがゆがんで見えたりします。検査をすると網膜剥離がみられます。場合によっては、耳鳴り、聴力低下、めまい、色素脱失などの症状もあります。
目の症状がでる前に、前駆症状として、髄膜炎に伴う頭痛、発熱、頭皮のピリピリ感、全身倦怠感などがみられることがあります。
治療について
確実な診断をするためにさまざまな検査を行い、治療に入ります。
眼科以外に、全身治療も必要です。
免疫抑制作用や炎症作用に優れた副腎皮質ステロイド薬を大量に全身投与したり、内服する治療を行います。
治療について不安があれば、院長までお伝えください。
緑内障
緑内障
緑内障とは
中高年の方が発症する代表的な病気のひとつ。
眼圧が高くなって視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。
見え方がおかしくなったり、視力が落ちた場合は注意が必要です。
治療が遅れると失明に至る恐れがありますので、定期的な受診が大切です。
症状について
自覚症状として、少しずつ見える範囲がせまくなっていき、見えない場所(暗点)が出てくることが一般的。
進行がとても緩やかなので、初期はほとんど自覚がありません。
実際、自覚症状で気付いた時点で、緑内障がかなり進行しているケースが多くなっています。
検査について
当院では、最新の無散瞳眼底カメラOptos®Daytonaにて目の奥(眼底)を検査できます。
眼底検査により早期発見・早期治療が可能となり、失明の予防につながります。
また、OCT(Optical Coherence Tomography 光干渉断層計)という最新の検査機器も導入しています。
今まで発見できなかったような網膜の細かい変化を詳しく検査できるため、患者様1人ひとりへ効果的な治療が可能となります。
ご症状や患者様によって散瞳薬を用いた精密な眼底検査をお願いすることもあります。
お早めにご相談ください。
視神経の病気
視神経炎
視神経炎とは
人は、網膜に入ってきた光の情報を視神経を通じて脳に伝達することで、ものを見ることができます。
この視神経に炎症が起きるのが視神経炎です。
症状について
片眼、時には両眼の視力が急速に低下したり、視野の真ん中や上部などが見えないといった症状がでます。
眼球を動かすときに目の痛みがあったり、目の圧迫感などを伴うこともあります。
目の後ろ側が痛くなることもあります。
発症頻度はそれほど多くはありません。
原因は
詳しくはわかっていません。
視神経を取り囲んでいる髄鞘(ずいしょう)という組織を構成しているタンパク質を、自己の免疫機能が分解してしまうために炎症を起こしています。
本来なら、抗体をつくって体内のタンパク質の分解を防ぐ機能が、うまく働かなくなり起きています。
視神経症の原因を探るために、視力検査・眼底検査・視野検査のほか、磁気共鳴画像(MRI)検査・血液検査・髄液検査などが必要に応じて行われます。
治療について
副腎皮質ステロイドによる点滴が主です。
ビタミンB12製剤の投与など、神経に必要とされる栄養素を投与する方法が行われることもあります。
原因によって治療法はさまざまです。当院にご相談ください。
乳幼児の⽬の病気
新生児涙囊炎
新生児涙嚢炎と先天性鼻涙管閉塞症
涙は目から鼻涙管(※図1)を通って鼻の奥へと流れます。
この管が詰まった状態で生まれてくる赤ちゃんの症状を『先天性鼻涙管閉塞症』といい、行き場のない涙が目に溜まった状態です。
赤ちゃんは、涙がうまく流れないため鼻涙管の中で細菌感染を起こすことがあります。
これが『新生児涙嚢炎』で、目やにが多く出ます。
診断について
生まれて間もなくから目やにが多く、いつも涙を浮かべているような症状が見られたら受診してください。
涙管通水検査を行い、診断します。
治療について
まず、通水により鼻涙管の自然開通を助ける目的で、涙管通水検査を行います。
必要であれば、抗生物質の目薬を併用したマッサージを行います。
自然開通することが多い病気ですが、自然開通が見込めない場合やお子さまの月齢により鼻涙管開放術などを行うこともあります。
治療の方法や治療時期については、当院までご相談ください。
乳幼児の鼻涙管閉塞症
鼻涙管閉塞症とは
涙を出す涙腺は、目じり側のまぶたの上にあります。
涙腺で作られた涙は、目の表面を潤し涙袋(涙嚢)、涙道(鼻涙管)を通って吸収されます。
先天性鼻涙管閉塞症とは、生まれつき涙の鼻涙管に膜が残っている病気で、新生児の約6~20%に見られます。
症状について
涙が吸収されないので外にこぼれたり、常にウルウル涙目になります。
また涙嚢にたまった涙には細菌が含まれていて、細菌が増えると目やにがたくさん出ます(新生児涙嚢炎)。
生後間もない頃から見られる涙目や目やには、鼻涙管閉塞症の原因の一つです。
治療について
目やにが出るときは、清潔なガーゼでふき取ってください。
涙目が止まらない時、目やにが多い時、目がはれる時、赤くなったりする時には当院にご相談ください。
色素を目につけて涙の性質を調べる検査(色素残留試験)、涙嚢に水を通す検査(通水検査)を行います。
1歳までに90%以上は自然治癒します。
自然治癒しない場合、以前はブジーと呼ばれる専用の器具で手探りの治療をしていましたが、最近では涙道内視鏡を使って正確に治療ができるようになりました。
小児斜視
赤ちゃんの目の位置について
生まれたばかりの赤ちゃんは、目を動かす筋肉や視力が未発達で、目の位置が安定していないのが普通です。
生後2~3ヶ月頃からお母さんをじっと見たり、目でものを追うことができるようになり、目の位置も安定してきます。
斜視とは
ものを見る時、片目は正面を向き、もう片目が違う方向(内側、外側、上、下)を向いている状態。
常に斜視の状態である場合と、ときどき斜視の状態になる場合があります。
赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いために、斜視のように見えることがあります。本当の斜視ではないため、成長するにしたがって顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなります。
原因は
目を動かす筋肉や神経の異常、遠視によって起こります。
また、目や脳の病気、全身の病気による場合もあります。
治療について
斜視の種類やお子さまの年齢に応じて治療を行います。
ずれている方の目が弱視になっている場合は、視力矯正を第一に行います。
斜視の種類により、手術が必要な場合もあります。
お子さまは見えにくい状況が当たり前になっているため、「見えない」とか「見えにくい」と訴えることがほとんどありません。
お子さまの様子で気になる症状があれば、早めに当院へご相談ください。
幼児の色覚異常
先天色覚異常と後天色覚異常について
先天色覚異常は遺伝による錐体視物質の異常で、その多くは『先天赤緑色覚異常』ともいわれるものです。
隣り合った色などが見分けにくいことがあります。
世間ではときに弱視と間違われることがありますが、視力は正常です。
目や脳内の病気などによる色覚障害を後天色覚異常といいます。
先天色覚異常の検査は
小学校の健康診断での色覚検査の義務化が廃止され、現在は任意となっています。色覚検査表を使っての検査が一般的ですが、表だけでは確定診断まではできません。
また、生活上の支障や職業適性を大まかに判断するときに適した色覚異常の程度判定の検査もあります。
お子さまの色の見え方で気になることがありましたら、当院にご相談ください。
進学と就職
現在、進学時に色覚について問われることはほとんどありません。
しかし自衛隊、警察関係、航空、調理師専門学校など、ごく一部の学校では入学時に制限されることがあります。募集要項にはよく目を通してください。
就職後に勤務して、初めて色覚異常に気づき、就業に困難を生じるケースもみられます。
どんな色が見えにくいかを自覚し、色の誤りをしないよう、対策を講じておくことがとても大切です。
弱視
視力の発達と弱視について
人間の目は生まれたときは未発達な状態で、ものを見ることで発達します。
視力の発達は、生後1か月から上昇し1歳半頃にピークに達し、8歳頃に完成すると考えられています。この段階で何らかの支障がおき、メガネをかけても視力が上がらない状態を弱視といいます。
原因は
視力の発達が止まったり遅れたりする原因は、いくつか考えられます。
●まぶたが下がっていたり、黒目が濁っていることによるもの。
●斜視によるもの。
●両目に強い遠視や乱視がある場合の屈折異常によるもの。
●近視、遠視や乱視などにより右目と左目の屈折度数の差が大きいことによるものなど。
弱視の見つけ方
まぶたがさがっている、黒目が濁っている、片方の目の位置がずれているなどの見た目や、次のようなことに当てはまる場合は、早めに受診してください。
●物にぶつかりやすい。
●転びやすい。
●目の前の小さな物をつかみ損ないやすい。
●お絵かきやぬり絵など近くの作業をするとすぐ飽きてやめてしまう。
●何度注意してもテレビを近づいて見たり、顔を傾けて見ている。
治療について
弱視の種類や発生時期により異なります。
屈折異常がある場合は、視力の発達を促すために常に適切なメガネをかけることが大切です。
メガネだけで視力が良くならない場合は、遮蔽訓練(視力の良いほうの目を隠して悪いほうの目でしっかり見る)も一緒に行います。
早期治療とご家族の理解、協力が必要です。
些細なことでも当院にご相談ください。
乳幼児の近視
子どもの近視とは
一般的に新生児・乳児は遠視ですが、成長とともに正常の視力になります。
学童期に近視になる場合が少なくありません。
この時期に進行する近視のほとんどは、眼軸長が過剰伸展を起こし、相対的に焦点が前へずれるために起こります。
強い近視がある場合、近くの物を見るときに目を近づけて見ようとします。
お子さまがこのような動作をした場合、近視だけでなく、角膜の病気や先天性白内障などの疑いもありますので注意が必要です。
お早めに当院までご相談ください。
原因は
遺伝による先天的なものと、読書などの環境因子による後天近視があります。
また、両親ともに近視のお子さまは、両親ともに近視でないお子さまに比べて、7~8倍近視になりやすいといわれています。
近視の進行を遅らせるために、読書の際に正しい姿勢で十分な視距離をとること、晴れた日に屋外で活動することが大切です。
治療について
眼鏡、コンタクトレンズを使用して矯正をします。
当院では「ワック」という目の緊張を緩和させる機械を導入しています。
「ワック」は、両目で機械をのぞき、遠近感のある写真を見る訓練です。
5分間で写真が入れ替わるので、お子さまが飽きることはありません。
当院は、お子さまの目の相談にも力を入れていますので、一度お越しください。
網膜・硝⼦体の病気
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症について
糖尿病が原因で、目の中の網膜が障害を受けて視力が低下する病気。
網膜とは、光や色を刺激として受け取り脳の視神経に伝達する組織で、ものを見るために重要な役割を果たしています。
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで糖尿病の三大合併症といわれています。
実際、日本の中途失明原因の代表的な病気なので注意が必要です。
定期的な検診、早期の治療を行えば進行を抑えることができます。
糖尿病の方は自己判断をせず、当院にご相談ください。
糖尿病網膜症の分類
【単純糖尿病網膜症】
初期の糖尿病網膜症。自覚症状はほどんどありません。
【全増殖糖尿病網膜症】全増殖糖尿病網膜症
単純網膜症より、一歩進行した状態。網膜光凝固術を行うケースが多いです。
【増殖糖尿病網膜症】
進行した糖尿病網膜症で重症な段階。多くの場合、手術を必要とします。
特に年齢が若い方ほど、血糖の状態にかかわらず進行してしまいます。
【糖尿病網半焼】
網膜の中心にある黄斑に、むくみが生じた状態。
単純網膜症の段階でも起こる場合があり、視力が低下してしまいます。
網膜剥離
網膜剥離について
網膜剥離は、何らかの原因で網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまい、視力が低下する病気。
網膜とは、光や色を刺激として受け取り脳の視神経に伝達する組織で、ものを見るために重要な役割を果たしています。
網膜が剥がれた場合でも、目の痛みを感じないので、気づきにくい病気といえます。
網膜剥離の分類
【裂孔原性網膜剥離】
網膜剥離の中で最も多くみられます。剥離が進行すると、全ての網膜が剥がれてしまいます。
前駆症状として、小さなゴミのようなものが見える飛蚊症、視界の中に閃光のようなものが見える光視症などの症状を自覚することがあります。
無症状のこともありますので、気になる方はご相談ください。
【非裂孔原性網膜剥離】
牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。
網膜剥離が起きた状態ではありますが、原因・経過はさまざまで、裂孔原性網膜剥離とは大きく異なる病気です。
牽引性網膜剥離は、重症の糖尿病網膜症などでみられ、眼内に形成された増殖膜あるいは硝子体などが網膜をけん引することで網膜が剥離する病気。
滲出性網膜剥離は、ぶどう膜炎などでみられ、網膜内や網膜色素上皮側から滲出液が溢れてきたことで網膜が剥離してしまった状態です。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは
網膜の静脈がつまり、その先の静脈が拡張して蛇行し、眼底出血や浮腫が起きる病気。
60~70歳代の高齢者に多く、40~50歳代にもみられます。
多くの場合、高血圧や動脈硬化が原因となります。
網膜静脈の閉塞が、視神経乳頭部の根本で起こる中心静脈閉塞症と、その先の分岐したところでつまる分子閉塞症に分離されます。
網膜の出血や浮腫が中心部の黄斑にかかると視力が低下します。
虚血が進行すると新生血管緑内障や、目の中での大きな出血(硝子体出血)、網膜剥離などを引き起こす場合があります。
網膜の血管がかなり詰まってしまっている場合は(虚血)、点眼やのみ薬で改善することはありません。
放置すれば将来的に失明する可能性があります。
治療について
目薬や飲み薬などでは網膜の虚血を改善できません。
新生血管の発症を防ぐために、レーザーで網膜を焼く「レーザー光凝固術」を行い、神経細胞を減らして(いわゆる間引き)、詰まってしまった網膜血管からの血液で足りるようにする必要があります。
この治療で視力が回復することはありません。
網膜症の進行を阻止し、失明を予防することが目的となります。
中心性漿液性脈絡網膜症
中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせい しょうえきせい みゃくらくもうまくしょう)とは
光を感じる神経の膜である網膜の中で、最も視力に関係する部分(黄斑)に網膜剥離が起きる病気。多くの場合は自然に治ります。
症状について
視力低下は軽い場合がほとんどです。
視野の中心が暗く見える中心暗点ものが実際よりも小さく見える小視症、ものがゆがんで見える変視症が生じることがあります。
網膜剥離が治ると症状は良くなりますが、何らかの見にくさが残ることが多いようです。
また、網膜剥離が長期間続いたり、再発を繰り返したりするような場合には、視力が低下することもあります。
原因は
不明ですが、ストレスが影響するといわれています。
妊娠時や副腎皮質ステロイド薬の副作用で起きることもあります。
副腎皮質ステロイド薬は飲み薬だけではなく、塗り薬、吸引薬、注射でも起きますので、主治医の先生に確認が必要です。
検査について
20~50代の方に眼底検査で黄斑部に網膜剥離が見つかったら、中心性漿液性脈絡網膜症を疑います。
高齢の方の場合、「加齢黄斑変性」という病気と区別するため、別の造影剤を使った検査も行い、診断します。
治療について
自然に治ることも多く、しばらく様子をみることもあります。
しかし、いったん良くなっても再発することが多いので注意が必要です。
症状によって、レーザー治療や飲み薬での治療を行います。
気になることがありましたら、当院へご相談ください。
黄斑変性症
黄斑変性症とは
網膜(カメラのフィルムにあたる組織)の黄斑というところに異常な老化現象が起こり、視力や視野が悪くなる病気です。
黄斑は網膜の中心にあり、物を見るのに最も大事な部分。
そこに病気が出ると、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見える、などの症状が出てきます。
普通は、中央以外の視野は保たれますので全く光を失うケースは稀ですが、見たいところが見えず読みたい文字が読めない、とても不便な状態になってしまいます。
黄斑変性症は、欧米では中途失明原因の第1位、日本では第2位を示しています。
黄斑部の脈絡膜(網膜より外側の血管の多い膜)に健康な状態では存在しない新生血管(異常な血管)が発生します。
新生血管は大変弱いために、血液が黄斑組織内に漏れ出し見る力が悪くなります。その後黄斑の網膜組織が破壊されて、永続的に高度の視力障害(視力検査で0.1以下)となってしまう可能性が高い病気です。
治療について
ヒトの細胞に必要な酸素や栄養素は血管を通って送り届けられます。
ある部分の血液が足りなくなった場合、その近くの細胞は血管の新生(新たに生まれる)を促す化学物質(血管内皮増殖因子)を作ります。
黄斑変性症の新生血管も血管内皮増殖因子によって発生します。
その化学物質を減らす薬で新生血管の発育を抑えます。
一度できた新生血管は、点眼薬や内服薬などでは治ることがないので、体内注射にて治療が必要です。
この硝子体内注射の目的は、新生血管の発育を抑えて視機能を維持すること。
全体の2割の患者様は視力が改善しますが、8割の患者様は視力を現状維持することしかできません。
黄斑変性症の進行を止め、視力の維持を目的とした治療になります。
網膜色素変性
網膜色素変性とは
光を感じる神経の膜である網膜(※図1)の神経細胞が死滅していき、その後に黒い色素が沈着していく遺伝性の病気。
夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下が特徴的な症状です。
白内障を合併することも多くあり、視界がかすんでみえたり、さらに視力が低下するなどの症状が出ます。
検査について
眼底検査、視野検査、蛍光眼底検査、網膜電図などを行います。
治療について
現在のところ、残念ながら根本的な治療法がありません。
症状の進行を遅らせることを期待して、暗順応改善薬(ヘレニエン)、ビタミンA、循環改善薬などの内服を行うことがあります。
白内障を合併している場合は、白内障手術を行うことがあります。
総合的な支援では、残っている網膜の機能を最大限に活用して、少しでも社会生活を送りやすくなるように工夫します。
まぶしさを和らげて見やすくする遮光眼鏡、活字を見やすくするルーペや拡大読書器、白杖などを患者様の病状に合わせて選びます。
医療費助成制度について
網膜色素変性は、厚生労働省の医療費助成制度の適応疾患です。
詳しいことは、当院にご相談ください。
黄斑浮腫
黄斑浮腫とは
黄斑部は網膜の中心となる部位で、視力にもっとも重要な部位です。
黄斑浮腫とは、黄斑部に液状の成分がたまり、むくんでしまうことによって、視力低下や、物がぼやけて見えたり、歪んで見えるなどの症状が現れる病気。
原因となる病気を治療しても黄斑浮腫の症状が改善しない場合には、そのままにしておくと網膜の神経が傷んでしまい、機能が元に戻らなくなる可能性があります。
治療について
ステロイド(ケナコルト)をテノン嚢(眼球の裏)に注射します。
ステロイドには、浮腫を取る働きがあることが知られています。
ステロイド剤を白目の部分に注射し、黄斑浮腫の症状を軽減します。
その他の病気
近視・遠視・乱視
ものが見える仕組み
目は小型カメラに似ています。
レンズにあたるのが前方の「角膜」と「水晶体」で、後方の光を感じる神経の膜「網膜」に焦点を合わせることで、ものが見えます。
水晶体の周りには小さな筋肉がついていて、水晶体の厚みを変えて焦点調節を行うことを「調節力」といいます。
水晶体が最も薄く、調節力を働かせない状態で、遠くからの光が網膜にぴったり焦点を結ぶ目を「正視眼」(※図1)といいます。
調節力を使うことで、遠くから近くまでものがはっきり見えます。
焦点が網膜の前方にずれた目を「近視眼」、後方にずれた目を「遠視眼」と呼びます。
近視について
近視とは、調節力を働かせない状態で、平行光線が網膜より前に焦点を結んでしまう状態のこと(※図2)。
遠くを見るときは像がぼけて見えます。
近くを見るときには、光りが広がる方向で目に入ってくるため焦点は網膜に近づき、裸眼ではっきり見ることができます。
遠視について
遠視とは、調節力を働かせていない状態で、平行光線が網膜より後に焦点を結んでしまう状態のこと(※図3)。
近視と違って、遠くも近くもはっきりと見ることができません。
乱視について
乱視は、角膜や水晶体の歪みによって起こる症状。
焦点は1箇所に集まらなくなり、像がぼけて見えます。
ほとんどの乱視は、近視や遠視と同じように補正レンズで矯正できます。
しかし、角膜の病気などが原因の不正乱視は、矯正することが困難になってしまいます。
当院での対応
当院では、眼鏡合わせやコンタクトレンズの相談にも力を入れています。
まずは患者様のご希望を伺いますので、お気軽にお越しください。
老視
老視とは
俗にいう「老眼」。目には、遠くを見たり近くを見たりするとき、自動でピントを合わせる調節力があります。
水晶体の周りの筋肉がその役割を果たしていますが、この調節力が加齢により衰えることで、近くのものを見る際に困難を生じる状況。
症状について
40歳代くらいから、近くを見る作業のときに目が疲れるなどの不快感を感じ始めます。
遠くに焦点が合いやすい遠視では、老視の症状を早く自覚することが多いようです。
近視では、普段遠くを見るためにかけているメガネで近くを見るとぼやけるなどの症状がでます。
治療について
いわゆる老眼鏡を使用します。
近用専用メガネや俗にいう遠近両用メガネなどさまざまな種類のメガネがあり、目的に応じて選べます。
最近は老視用のコンタクトレンズも販売され、矯正方法の選択肢が増えました。
当院はコンタクトレンズの処方や取り扱いもしております。
お気軽にご相談ください。
ドライアイ症候群
ドライアイ症候群とは
涙の分泌量が減ること、涙の質が低下することで、目を潤す力が低下した状態。
涙は、涙腺という眼球の外上側にある組織で作られ、まばたきによって目の表面に行き渡ります。
角膜や結膜の細胞に栄養を供給する役割も果たしています。
ドライアイ症候群は、パソコンを長時間使用するオフィスワーカーに多く、視力の低下も起こります。
症状について
病名のとおり、目の乾燥感が主な症状。
その他、異物感・目の痛み・まぶしさ・目の疲れなど、慢性的な目の不快感や疲れをもたらします。
目の表面の細胞に傷ができやすい状態になってしまいます。
日常生活の質を下げることもあるので、異物感や疲れ、見えにくさを感じたら、当院までご相談ください。
原因は
年齢を重ねると涙の分泌量や質が低下します。
その他、コンタクトレンズの使用、喫煙、点眼薬、乾燥した環境も原因です。
長時間のパソコン、タブレット、スマートフォンなどを見つめる作業は、ドライアイが起こりやすくなりますので、ご注意ください。
治療について
当院では、メディアでも取り上げられた「オートレフトポグラファー」という機器と、実用視力計を用いて治療を行います。最新の機器により、効果的な治療が可能です。
鼻涙管閉塞症
鼻涙管閉塞症とは
鼻涙管とは、涙の通り道にあたる部位です。
この鼻涙管が詰まると涙があふれたり、涙が溜まって視界がにじんだり、常に涙が付着することで目の周りの皮膚が炎症を起こしたり(眼瞼炎)します。
一般的に、中年といわれる年代の方が多く発症され、男性よりも女性の方が起こりやすい病気といわれています。
鼻涙管閉塞症の原因はまだ解明されていませんが、先天性(生まれつき)、外傷性(まぶたの怪我)、加齢性変化、炎症(流行目など)、抗がん剤使用(TS1製剤など)によるものが挙げられます。
治療について
目薬などで炎症を抑えることができる場合もありますが、一度詰まった鼻涙管を元の状態に戻すことはできません。
その場合、閉塞した鼻涙管を器具で開放し、シリコン製のチューブ(涙管チューブ)を挿入する方法が一般的に行われます。
コンタクトレンズ障害
コンタクトレンズ障害とは
コンタクトレンズを使用することで起きる眼障害の総称。
なかには失明の危険もある重篤な疾患もあります。
眼障害について
報告が多いのは「点状表層角膜症」で、角膜の上皮層に小さな傷が付いている状態です。
重度な眼障害に「角膜内皮障害」があります。
自覚症状が現れないまま、角膜の内側を構成する細胞(角膜内皮細胞)が少しずつ脱落減少していきます。
「角膜浸潤」は、角膜に傷ができ、角膜上皮および実質に炎症を起こしている状態です。
それが悪化すると、「角膜潰瘍」になります。
他にも、「巨大乳頭結膜炎」「角膜血管新生」「角膜上皮びらん」などの眼障害が起きています。
原因は
コンタクトレンズで目の角膜を覆うことによる角膜の酸素不足、感染、レンズの汚れ、機械的な刺激、アレルギー、ドライアイなどです。
さらに、次のような理由もあげられます。
●長時間装用、洗浄不良などにレンズの使用方法に問題がある場合
●レンズのキズ、劣化、破損などコンタクトレンズ自体に問題がある場合
●定期検査をしていない、処方やレンズケアが不適切などの場合
眼障害を防ぐには
眼科医のもとで、自分の目にあったレンズを処方してもらうことが大切です。
目のカーブにレンズが合っていないと、角膜との摩擦が起こりやすく、トラブルの元となります。
正しい装着方法、レンズケアの指導を受け、それを守りましょう。
また、定期検査を受けたり、自覚症状があったらコンタクトレンズの使用を中止して、眼科を受診してください。
当院はコンタクトレンズも取り扱っていますので、気になることがありましたら、どうぞご相談ください。
大人の斜視
斜視とは
両眼の視線が合わなくなる病気。
斜視の患者様の多くは、幼児の頃に症状が現れます。
大人の斜視には、子どものうちに眼科医を受診されなかったり、治療の途中で治ったと思われて治療や定期検診を中断された方もおられます。
近視が強くて目が寄ったり、目を動かす神経や筋肉の異常が原因で目の位置がずれることもあります。
大人の斜視の特徴と注意すること
集中していると目の位置がまっすぐになるのに、気を抜くと目が外側を向く患者様がおられます。
視線を合わせるのに疲れるため、肩こりや頭痛になることがあります。
また、目を動かす神経や筋肉の異常が原因の場合、ものが二重にだぶって見えることがあります。
この場合、脳の血管の詰まりやできもの、全身の筋肉の病気やのどの病気などのケースもあります。
必ず眼科を受診してください。
治療について
「大人になると斜視の治療はできませんか」とご相談をいただきます。
斜視と関連がある弱視の治療は子どものうちに限られますが、症状のひどい斜視の手術は年齢に関係なく行えます。
目を動かす神経の異常の場合、約8割の患者様が治っているという報告があります。
目の筋肉の異常に飲み薬が有効なケースもあります。
あきらめずに、当院に一度ご相談ください。
眼精疲労
眼精疲労とは
目を休めても目の疲れがとれず、目の痛みやかすみ、まぶしさ、充血などの症状や頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状がでる状態。
原因について
目に何らかの問題があり起きることが多いのですが、原因はさまざまです。
●度の合わないメガネの使用、老眼の初期に無理に近くを見ようとしたことなどによるもの
●緑内障や白内障など、目の病気によるもの
●パソコンなどを使用する機会(VDT作業)が増えたため
●その他、全身疾患によるもの、心因性のもの、環境によるものなど
治療について
メガネが合わない場合は作り直したり、目の病気は治療するなど、原因に応じて行います。
パソコンを使用する際は、適度な休息を取って目を休めることがとても大切です。
眼精疲労には特効薬はありませんが、ビタミン剤配合の目薬や内服液が有効な場合があります。
当院にご相談ください。
飛蚊症
飛蚊症(ひぶんしょう)とは
目の前に糸くずのような浮遊物が動いて見えたり、虫が飛んでいるように見える症状。
普段は気がつかなくても、白い壁や空を見たときに、はっきりと現れることが多いと言われます。
「生理的飛蚊症」と、重い目の病気の前触れである「病的飛蚊症」に分けられます。
生理的飛蚊症の原因について
眼の中を満たしている透明ゼリー状の硝子体(しょうしたい)が濁ったり、その後ろの部分がしぼむために起こる現象。
加齢による生理的変化であるため、心配いりません。
病的飛蚊症の原因と病状について
【網膜裂孔・網膜剥離】
網膜に穴が開いたり、網膜が剥がれてしまった状態。病状が進むと、視野欠損や視力低下を引き起こします。適切な治療を行わないと、失明の危険性があります。
【硝子体出血】
糖尿病や高血圧、外傷などが原因で硝子体の中に出血することがあります。見える浮遊物が日に日に増える場合は、出血が続いていることが考えられます。
【ぶどう膜炎】
一部のぶどう膜炎では硝子体に濁りを生じるため、飛蚊症を引き起こします。ぶどう膜炎の場合は、まぶしく感じたり、目の痛み、かすみ、充血、視力低下を伴うことがあります。
飛蚊症を自覚したら、一度眼科を受診することをお勧めします。
当院にご相談ください。
眼瞼けいれん
眼瞼けいれんとは
目が自由に開けにくくなったり、瞬きが増えたりする状態。
まぶたの運動障害に加えて、まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾くなどの感覚過敏があるのも特徴です。
間違いやすい病気
ドライアイや眼精疲労と間違われることがあります。
抗うつ、不安、不眠などの精神症状がある場合もあり、うつ病と間違われたり、自律神経失調症、更年期障害、神経症と診断されることもあります。
また、病名が似ていますが、片方の目の周りや、頬や口の周囲の筋肉が勝手にピクピクと動く病気は「顔面けいれん」です。
原因と治療について
原因はさまざまで、まぶたを閉じる眼輪筋という筋肉の収縮や、精神的ストレス、逆さまつげなどで眼球が刺激されて起こる場合もあります。
原因がわからないこともあります。原因や症状の程度により治療法もさまざまです。
症状が重い場合、ボツリヌス毒素を注射して収縮した目の周りの筋肉を緩め、眼を開けていられるようにする治療などを行います。当院までご相談ください。
眼瞼下垂
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは
まぶたが、何らかの理由によって下方向に垂れ下がってしまう状態。
上方の視野が狭く感じられたり、外見が悪くなるといった不都合が起こります。先天性と後天性があります。
先天性眼瞼下垂
出生直後からみられる眼瞼下垂で、はじめはほとんどまぶたが開いておらず、日を追うごとに少しずつ開きます。
まぶたを上げる筋肉の働きがよくないことが原因です。
赤ちゃんの様子や視力の発達を観察しながら、3歳を過ぎてから手術をする場合が多いです。
一度は早期に眼科を受診し、視機能評価や合併症の有無、手術の必要性とその時期などを判断してもらうことをお勧めします。ご相談ください。
後天性眼瞼下垂
加齢性眼瞼下垂は、加齢によりまぶたを上げる筋肉と皮膚などの間の結合が緩んで起こります。
まぶたを上げる機能には問題がないことがほとんどです。
この他に、神経麻痺などの病気や外傷性が原因で、眼瞼下垂になる場合もあります。治療は手術を行います。
視界が急速に狭くなったり、目を開きにくく感じたり、常にまぶたが重いといった症状を感じた場合は、当院にご相談ください。
複視
複視とは
何らかの原因でうまく像を結べなくなる状態。
ものが二重に見えたり、にじんで見える、歪んだりするなど、いくつかの症状があります。
複視には、片眼性複視と両眼性複視があります。
片眼性複視について
片目で確認した時に、ものが二重に見えたりします。
近視・遠視・乱視などの屈折異常によるもの、または、水晶体に異常がある場合に起こります。多くは視力の衰えが関係します。
視力の異常があれば、メガネ等で矯正することも可能です。白内障が原因である場合は、早急の治療が必要です。
両眼性複視について
両眼性の場合は、片目ずつで見たときには、複視の症状が現れませんが、両目で見るときに焦点が合わずに、ものが二重に見えたりします。
主な原因は、眼球を動かすための眼筋麻痺が原因で起こることです。
複視が起こることを「斜視」とも呼ぶため、『大人の斜視』の項目もあわせてご覧ください。
原因は
原因はさまざまで、老化や目の酷使などの他に、糖尿病や甲状腺疾患、脳の病気である場合もあります。
脳の病気の場合には、脳梗塞や脳内出血、脳腫瘍などが関係している事もあり、特に注意が必要です。
複視は、検査をして原因を特定した後、眼科でのケア以外にも脳外科や内科の受診が必要になる場合があります。
まずは、当院にご相談ください。